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  「親鸞様の教えに会えた喜び」

釈 一光  

今日は、「浄土真宗のみ教えに出会うことができた喜び」について、お話をさせていただきたいと思います。

さて、私たちの周りには、さまざまな宗教がございます。仏教、神道、キリスト教、その他の新しい宗教もありまして、それぞれの宗教は、またいくつもの宗派に分かれております。

私たちがいろいろな悩みをもって、宗教に救いを求めようとしても、一体どの宗教宗派が本当に私たちを導いてくれる宗教であり、宗派なのでしょうか。これは大変難しい問題であるように思われます。

私個人のことで恐縮ですが、私の父は浄土真宗の寺の次男に生まれました。

しかし、父は旧制の中学生の頃から「寺は葬式仏教に堕落した。」と言っていた様でございまして、電気関係の専門学校に進み、サラリーマンの道を選びました。太平洋戦争では、通信兵として南方戦線に向かい、敗戦時はニューギニアで迎えました。

捕虜生活を経て、復員し、戦後の貧しい暮らしの中で、懸命に生きてきたように、私には思われます。

戦後の思想状況の中で、父はどちらかといえば革新的な考え方を持っておりました。私も自然に父親の影響を受け、小学校の頃から社会主義国家のソ連や中国に興味を持っておりました。

そのようなわけで、私は唯物論的な思考方法で世の中を見る人間として、半世紀を過ごしてまいりました。

宗教に関しては、憲法が保障している「信教の自由」を当然のことと考えておりましたので、宗教はそれぞれの人が自分で判断して選べばよいのだ、と、考えておりましたが、自分自身は「無宗教」であると思っておりました。

そのような私が、浄土真宗のみ教えを学びたいと思うようになったきっかけは、父親の死でございました。

父は、4年ほど前、85歳で突然死亡いたしました。

その日の朝、出勤してまもなく妻から電話があり、父がなくなったことを知らされました。直ぐに実家に飛んで行きましたが、父は布団の中で、静かな表情を浮かべておりました。

葬儀屋さんがお棺を運んできて、遺体を納棺した時です。

母が、「これを入れてあげようね」といってもって来たのは、朱色のすこし色あせた門徒式章でした。(ということは、後ほどわかったことなのですが。)そして、私が驚いたのは、母が「これも」といって持ってきたあの赤い勤行章典(この名称も後から知ったことですが。)を見た時でした。それは、長年、毎日のお勤めに欠かさず用いてきたのでしょう。表紙から数ページの左隅はちぎれ、全体もだいぶ痛んでおりました。

私は正直混乱しておりました。あの無神論者だと思っていた父が、毎日浄土真宗のお勤めをしていたとは、本当に信じられませんでした。実家には仏壇もありませんでした。父は、床の間に飾った、親鸞聖人の書いたといわれる六字名号のレプリカの掛け軸に向かって、念仏を称えていたのでした。

通夜、葬儀式は、親戚の住職である、従兄弟が予定をやり繰りして来てくれましたので、なんとか済ますことができました。

しかし、浄土真宗について日本史の教科書の中でしか知らない私は、初七日、四十九日、お墓の建立等々、どうしてよいものか、入門書を読んだり、インターネットを検索したりと、必死になって浄土真宗関係の情報を集めました。

こうして、断片的ではありましたが、少しずつ、自然に、私は浄土真宗の教えを学ぶようになりました。

さて、浄土真宗の教えにつきましては、歎異抄の中に、親鸞聖人の言葉として、「本願を信じ、念仏を申さば、仏になる。そのほか、なにの学問かは往生の要なるべきや。」と示されております。

阿弥陀如来の本願は、煩悩多く、愚かさと貪りのなかで生きている私たちを、救わずにはおらない、という、大きな慈悲の願いであります。そして、ご自分のお働きを六字の名号「南無阿弥陀仏」として、私たちに与えてくださいました。

南無阿弥陀仏の信心をいただくということは、私が自分に執着する煩悩にまみれた人間であり、自分の力では、どうしてもこの迷いの世界から出ることができないという、自分の姿に気づかされ、迷いの世界を出るには、自分のはからいをすべて捨てて、阿弥陀如来の本願にお任せするしかないことを、信じさせていただくことであります。

このような浄土真宗の教えに出会いまして、私は、これまで考えていた、宗教は自分が選ぶということが、いかに思い上がったものであり、自分の実際の姿を知らないものであるかを思い知らされました。

そして、浄土真宗にめぐり合えたことを、心からありがたく存じております。

皆様も、それぞれいろいろなご縁でその宗派の教えを聞かれるようになられたことと存じます。

私も、頂いたご縁を大切にして、お念仏申すことができる日々を大切にして、生きていきたいと思っております。

南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。(小生は、浄土真宗本願寺派の僧侶です。)

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