死んだら墓の下にはいません
順 哲
ある家のお祖父さんの49日法要を過ぎ、お墓にお骨を納める際に、大人たちが「お祖父さんは浄土といういい所に行ったんだよ。だからよかったね」と話していると、まだ5歳くらいのお孫さんが尋ねたそうです。
「お墓の下にはお祖父さんが入っているんだよね。そしたら浄土にいったのは誰なの?」と。大人たちは誰も答えられなかったそうです。
それではどのように答えればよいのでしょうか。
親鸞聖人は浄土和讃の中で次のように説いています。
安楽浄土にいたる人 五濁悪世にかえりては
釈迦無尼仏のごとくにて 利益衆生はきはもなし
そうです。亡くなられたお祖父さんは肉体のぬけがらとしての骨はお墓のしたにあるとしてもお祖父さん本人は阿弥陀如来の本願力により浄土に生まれ変わり、仏として過ごしているのです。
しかし、仏となられたお祖父さんはそこでのんびりしているわけではなく、この世に還り、菩薩行(ぼさつぎょう)という人々を救う大切な役目をしておられるのです。これを還相回向(げんそうえこう)といいます。
お祖父さんの49日に忙しい中をやりくりして親戚やお知り合いの方々が集まったのもお祖父さんの菩薩のなせる業であるといえます。
お祖父さんは自分のことはもう大丈夫だからお前たちも阿弥陀如来の本願力を信じて生きていくようにと働きかけておられるのです。
本日は亡くなられた方の菩薩行についてお話をさせていただきました。
