おすそ分けの大事さ。
小西 竜刀
冬の寒さも少しずつ和らぐ兆しが見えてきたような頃になりました。
当院では冬になると「野施行」というものを行います。場合によっては「穴施行」「寒施行」などということもあるそうで。
冬になり、野に餌となるものが少なくなってきた頃に油揚げ・おむすび等々地域によりますが、檀信徒さんから食べ物をいただき鳥獣や狐(お稲荷さん)への施しとしてお供えをしながら行脚します。
不思議なもので、その野施行の翌日にはとても有意義な話が入ってきたり、なくしていたものが見つかったりと、得をすることがよく起こります。
そんなの偶然だよ、なんて声も聞こえてきそうではありますが、もし偶然だとしてもそのタイミングというのは…どうなんでしょうね。
オカルトめいた話になりますが、私はお稲荷さんへの施しを行ったぶん、そうやってお返しをしてくださってるんだなと思っています。
私は非科学的な話は…と、眉をひそめるお方がいるかもですが。
これは野の動物のみならず、私達ヒト同士でも同じことがあるかなと。
実際に食べ物を置いていて施し云々ということではなく、諺にもある「情けは人の為ならず」という考え方ですね。
ささやかでもいいので、何かしらの周囲に対する優しさは必ずその人に巡り巡ってきちんといい形となって現れるものです。
他人に優しさを向けることが偽善的といった考え方や、損であるということを思う方がいらっしゃるのも事実ですが、そういった周囲への優しさで得をしている人がいるのもまた事実なわけでして。
わざわざアレをして、コレをしてと考えなくてもいいんです。各々のできる範疇で、無理のない程度でちょっとした優しさを持つ、これが世の中をスムーズに動かしたりWINWINを呼ぶもととなるかと。
なかなか急に始められることではありませんが、少しづつでいいので周囲の方々に小さな「施し」をしてみては如何でしょうか。
合掌