宗派を超えた・やさしいPC法話

仏の国

妙純 

今日は『仏の国』のお話を致します。仏の国なんて何処にあるの?

それはこれからお話していきますので、まずは、皆様良くご存じの『般若心經(はんにゃしんぎょう)』の中に『波羅密多(はらみた)』とありますが、その多を取った『波羅密』の事をお話して行きます。

その『波羅密』はインドの古い言葉サンスクリット語で言うと『パーラーミー』と言います。

インドから伝わり中国でこれを『彼岸に行く為の』と訳し、日本に入って来て漢字を当てはめてみたら『波羅密』となりました。

彼岸とは一般には、お彼岸の事で年に二回春と秋にご先祖様のお墓に行き、供養をする事ですね。

それが仏教では『彼岸は悟りの世界に行く』ことを言いまして、仏様の様な智慧をつけられると言うことです。

この反対は、今私達がいる煩悩のある世界の事を此岸(しがん)と言います。

どういうことかと言いますと、此岸からあちらの世界の彼岸に渡りましょうと言う事なのです。

それでは、『悟りの世界』は何処なのでしょうか?それは息絶えて命が亡くなって死んで行く世界の事?いいえ違います。生きている時に悟りの世界に行かなくては生きている意味がありません。

今ここに居る人の事、皆様の御家族、御友達などが仏様みたいだよと言うのが理想です。

あぁこの人は親切にしてくれる仏様の様な人だねと言われること。今ここに居るこの世界の事なのです。

仏教の経典に死んだ人の為の事などを書いた物は殆どありません。

皆みんな生きている人達がこういう風に考えればすこやかに過ごせる、生きている人がこういう『お心』になればこれはまさに悟りの世界なのです。

そして明日は笑って過ごせるのではないか。その悟りの世界に行く為の『波羅密』なのです。それではどうしたらその悟りの世界に行く事が出来るのでしょうか?

悟りの世界に行く為には、六つの方法があります。

一つには、布施です。

この言葉はインドで『ダーナ』と言ったのが、インドからまず東廻りをして中国へ行き、日本に来て『ダンナ』と言う言葉に変わりました。

この『ダンナ』とは見返りを求めずあくせく働いて来る人の事です。

皆様の中にもいらっしゃいますね。お家にもいらっしゃいますか?

大事にしていますか、帰って来たら三つ指ついて『お帰りなさい』なんて言ってますか?

『あくせく働き、夜遅く疲れ帰って来ても、出迎えてくれるのはいつも犬の『ゴンタ』だなんて言われていませんか?(笑い)

又、インドから西廻りをしてヨーロッパに行ったら『ドメイション』よく知られている『ドナー』と同じ語源です。

見返りを求めずに何かを提供する人の事です。

次は持戒(じかい)です。仏のルールをしっかり守ることの持戒です。

三つめは、忍辱(にんにく)です。餃子や料理に使う食べるにんにくと違います。怒りを捨て、うらみを起こさず耐え忍ぶ事です。

四つ目は、禅定(ぜんじょう)は心を穏やかにすると言う事です。

五つは、精進(しょうじん)。仏道を頑張り努力する事です。

六つ目最後の般若は、やはりインドの『パンニャー』と言った言葉が日本に来て、『般若』となり、真実を見る仏様の智慧と訳します。

つまり、『波羅密』を修める事により表われてくる本当の智慧、教えの事です。

迷いの煩悩に満ちたこの此岸から悟りの世界へ行く事によって『般若』つまり、真実を見る仏様の正しい教えを得る事が出来る。この六つの方法を行う事により、此岸から彼岸に到らせてくれるのです。

ウーン、むずかしい!でも皆さんやっているのです。それでは、分かりやすく説明致します。

今朝出かける前にお仏壇に御線香をあげて来られましたね。

そうなのです。日常私達が行っているすごく身近にある事です。

まず仏壇に行く前に手や顔を洗いますよね。それは自分ながらルールを作っているのですね。戒を持つというのは、自分を清めそのルールに従うと言う事はなんと清々しい朝を迎えられる事なのです。御仏壇に行く前に手や顔を洗うと言う事はもうすでにこの『六波羅密(ろくはらみつ)』の持戒をやっている事と同じなのです。

お花を飾る。このお花と言うのは暑さ、寒さに耐え必ず咲いてくれます。

寒いから咲かないなんて花はないです。真言宗豊山派総本山にある長谷寺では、大雪が降っている中でも一月に寒牡丹がちゃんと咲いてくれます。

コモ(ワラで作った傘)をかぶり見事な牡丹の花を見る事ができます。 

冬咲く牡丹にも二種類ありまして、もう一つは冬牡丹と言うのが御座います。 その違いは寒牡丹は自然に咲き葉が落ちて花だけが咲きます。冬牡丹は、人工的に温度を加えて咲かせるので、葉があります。葉があるかないかでその違いが分かります。

この長谷寺では、秋の紅葉がとっても綺麗で、沢山の方が御参りに来られます。丁度見ごろの十一月二十二日より4日間ですが、実は私達このときに行き御影堂の中で、お話をさせて頂くことになっております。

4月には、サクラ、5月には7000株の牡丹が咲きます。6月はしとしととアジサイが咲き他にも沢山の花が咲き乱れます。

すみません横道に反れました。

そうそうお花を飾る事に戻りますが、お花は寒さに耐えて『忍辱波羅密』行をやっているのと同じです。

水を供えると言う事は、何の見返りもなしにおめぐみの雨が降ってくれます。雨を降らしてくれる布施の行と同じです。

ご飯を供える事は、ご飯を食べるとお腹いっぱいになって心が落ち着きます。心地良くなります。『禅定波羅密』をやっているのと同じです。

ではお線香は一度燃えたらずっと燃え続けます。お線香を供えるのは『精進波羅密』をやっている事です。

ろうそくに火をともすと言うのは、ろうそくの炎は護摩(ごま)の炎の事です。 つまり智慧です。物事を正しく見るということですね。

我々真言宗では護摩と言って(食べる胡麻ではありません)炎を燃やし、その炎の中に自分たちの煩悩やけがらわしい事を燃えつくしてもらう事をお願いするのです。炎と言うのは智慧の象徴です。

悪しき思いを燃やしてくれる。ろうそくの炎をともす事はもうそれだけで私達の心の中にある悪しき物を燃やす智慧の炎を授かっている事です。ろうそくをともす事は『般若波羅密』をやっている事です。

これで全部『六波羅密』をやっているのです。

今、この場でいる世界の事なんです。それに気付いた貴方は仏様なのです。

@ダンナ様が帰り、椅子に座るとサァーと黙っていても熱いお茶が出てくる。これは見えない心が観じる観音様です。
A子供さんが何かいけない事をしてバシッと怒る父親は御不動様です。
Bお年寄りの方が道で転がり膝を傷つけてしまった所を通りかかった若い人が薬をつけてあげればこの若い人は薬師如来様です。

その様な人がこの世の中に沢山居れば、大きな悟りの世界、つまり優しい心を持った仏様でいっぱいとなり、まさにそれは『仏の国』になるのです。

是非一人でも多く『仏の国』を作れます様、この『六波羅密』を実行し又教えてあげて下さい。 そして、お家に帰り、又お仏壇に御線香をあげられましたら、この『六波羅密』の事を思い出して下さい。あぁ私はお仏壇の世話をすることは、六波羅密をやっているのと同じ事なのだ、そして『仏の国』の一人になれたのだと。大きな大きな『仏の国』を作りましょう。簡単でしょう。

私も多くの皆様が『仏の国』に行かれます様、合掌してお話の結びとさせて頂きます。

最後迄お聞き頂きまして有難う御座いました。                                       以上