ただ我一人 のみよく救護 を為 す
村上了山
寶海梵志 の願に云く
「我れ未来世の穢悪 土の中に於いて當に作佛する事を得べし
即ち十方浄土より檳出 せる衆生を集めて我れ當 に之を度すべし」と誓い給き 此の娑婆世界の一切衆生は十方の諸佛に抜き捨てられしを、釈迦一人許して扶 けさせ給ふを唯我一人と申す也
(松野殿御消息より)
遙か遠い過去に、
王には千人の王子が居り、またこの国の第一の大臣を寶海梵志といった。
王、王子もふくめ国民は皆、寶蔵如来という佛に帰依し、浄土での成仏、すなわち浄土
に於いて佛になることを願ったのだが、寶海梵志大臣だけは、この
この娑婆世界という処は、他の世界より追いやられた罪人が集まってくる
一人この娑婆世界での成仏を願った寶海梵志は「私は未来世、この穢れた世界である娑 婆世界で佛となりたい。そしてこの世界に追いやられた衆生を救い、皆この穢土で佛とな ってほしいのだ」と願われ釈迦如来となられた。
これを、お釈迦様は“唯我一人のみ能く救護を為す”といわれたのだと日蓮聖人はお手 紙の中でお話しをされたのです。
