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葬送の歌

阿弥陀堂栗桃庵 杉本好弘

私は何年か前、ボランティアで行っている特別養護老人ホームでお葬式を頼まれたことがあります。そこのホームでは、明治・大正・昭和の、いわゆるナツメロを、私のアコーディオンを伴奏に、みんなで歌ってもらうボランティアを、もう長いこと続けていたのですが、そのお年寄りの一人が亡くなったのですが、事情があって遺族がお金を出さないので、ボランティアで葬儀を引き受けてくれないかといわれたのです。

お引き受けして、浄土宗の型どおり、枕経(まくらきょう)・通夜式と葬儀式の併修・出棺(しゅっかん)式・荼毘(だび)式と勤めたのですが、施設内の式には、同じホームのお年寄りがたくさん参加してくれました。 その出棺式のときのことです。お年寄りたちが並んでいる中をお棺を車に運んでいる間、お経と念仏を唱えていたのですが、ふと、いつもナツメロを終わる時に歌っている「故郷」をみんなで合唱したらいいなと思ったのです。故郷を浄土だと理解すれば、これはまさに葬送の歌ではないでしょうか。

また、私が今活動している、大阪の通称釜ケ崎と呼ばれる地域で、「千の風になって」がよく歌われるのですが、これも葬送の歌そのものです。葬儀をほとんど出してもらえないこの地域の人にとっては、墓の中ではなく、風になって空を飛翔する魂こそ、自分の死後の世界なのでしょう。私がこの地域でお葬式を出すなら、出棺の偈文(げぶん)のかわりにこの歌を歌いたいと思います。

このごろは、葬儀屋さんもいろいろな工夫をして、葬儀の時に、故人が生前好んだ歌をバックに流したりすることも珍しくなくなりましたが、仏式のお葬式でも、「葬送の歌」を取り入れたらどうでしょう。なじみのないお経を聞かされるより、供養する心が深まるかもしれません。

蓮ライン